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『五等分の花嫁』4巻感想

『五等分の花嫁』4巻の感想を。ネタバレです。

五等分の花嫁(4) (講談社コミックス)

前書き

『五等分の花嫁』は週刊少年マガジンで連載中の漫画。ジャンル的にはラブコメです。今なにかと流行りの家庭教師モノ?で、学年成績最優秀の上杉風太郎君が、仕事の依頼として、赤点常連の同級生の五つ子女子の家庭教師をする……だけど苦労ありハプニングありイベントあり色恋あり……というのが大まかな筋。
 ヒロインが五つ子姉妹というのが重要な部分です。姉妹たちは顔立ちはそっくりなのですが、性格はもとより得意分野、趣味嗜好などがまったく異なる個性溢れる姉妹で、各々が物語を華やかに彩る魅力的なヒロインとなっております。
 将来、風太郎は五つ子の誰かと結婚するというのが物語冒頭で明示されていて、五つ子の誰が風太郎の花嫁なのか、というライトなミステリ要素もある作品ですね。

 というわけで4巻。前巻の中野父から課せられた厳しいノルマもなんとか乗り越え、そのご褒美のように1巻まるまる楽しい林間学校編で、五つ子と風太郎の同室宿泊イベントから、飯盒炊爨、肝試し、スキー、キャンプファイヤーとイベント目白押し(どうでもいいけど季節感どうなっとるん!?)。風太郎もかつてないワクワクテンションで、全体的に楽しい雰囲気で構成された1巻でした。同時に五つ子各々の風太郎に対する気持ちも、恋愛、信頼、友情とポジティブな方向に開花しつつあります。変化し始めたキャラの内心も今巻の見どころですね。

キャラ感想

風太

 らいはから風邪を貰いつつも、ぶっ通しで林間学校を途中まで乗り切ったんだから、やっぱ風太郎はすげーと思います。そして、向き合わなきゃいけないヒロインが5人もいて、更に彼女たちを平等に、誠実に接しなきゃいけないんだから、やっぱり風太郎の度量は半端ないと思います。
 林間学校を純粋に楽しみにしてたところは、可愛いですね(笑)途中でダウンしてしまったのはかわいそうだけど、その想いは五つ子にしっかり伝わっていたのだから、色々と悲喜交交なイベントがあった林間学校も、彼にとってよきイベントだったと思います。

・一花

 ベタな閉じ込めイベントで風太郎への恋心が完全にスイッチがはいってしまい、三玖に続いて恋愛レースに参戦せざるを得なくなりました。(悪気がなくとも)風太郎にダンスのキャンセル提案をされ、その場で無意識的に涙が流れてしまうシーンは、凄まじいヒロイン力。
 一花と三玖の、相性良く仲睦まじい姉妹と、好きな人を巡る恋敵、という相反する関係性も始まりましたね。なんというか一花も三玖も、ニ乃・四葉・五月のように、分かりやすく感情をアピールする二人じゃないし、もともと穏やかな性格だから、なおのこと、色々と複雑で切ない関係性だなぁと一読者としては思います。

・ニ乃

 偶然出会った運命のキンタロー君とせっせと恋愛フラグを立てようと努力。されど悲しいかな、それは空回りせざるを得ない。しかし風太郎と髪型と言葉が違うだけでここまでゾッコン(古い表現すみません 笑)なんだから、ニ乃は風太郎にもそういう魅力を見出せるはずですね。
 そういう欲望が表に出ない四葉や、ちょっと潔癖で天然気味な五月と違い、二乃は一花や三玖と同じく異性と恋愛することに躊躇しないと、この巻で明示されましたね。ということは、将来ヒロインレースに参戦することも(そしてかなり積極的に攻める存在として)、この時点で説明しているんだろうなぁとおぼろげに思います。

・三玖

 この子の魅力的な部分は、風太郎に対して最も早く恋心を抱いたって部分もそうなんですが、それ以上一人の等身大な女子という部分なんだと思います。自分に魅力がないとちょっと自虐的で、姉妹にも劣っているだろうと悩んで、自分だけ風太郎に特別な感情を持つことはアンフェアだと思ってしまって。だけど風太郎のことは誰よりも好きで。そういう等身大の女子としての苦悩が、キャラクターとしてすごく感情移入しやすく、だから頑張って欲しいと応援したくなるのだと思います。

四葉

 要所要所で動きを見せるキャラなのですが、やはり中核を担うほどの扱いは今のところはなし。元気な振る舞いは場の空気を盛り上げるのに一役買ってますが、その元気な振る舞いの裏で、四葉がいったいどういう内心なのか、明確に語られないのが、やはり特異な印象を受けます。
 逆説的に四葉が中心的な扱いとなり、その内心が部分的にでも明かされれば、それは『五等分の花嫁』という話の中で大きな意味を持つことになるのではないかと、思ったり思わなかったり。

・五月

 スキーでの風太郎に対して五月がやったことは、確かに姉妹にとって重要なことかもしれないけれど、やはり風太郎をダウンさせてしまった最後の引き金になったわけで、五月の生来の不器用さというか、間の悪さが出てしまったかな、という感覚。
 でも、五月も、他の姉妹も、みな風太郎の気持ちを汲み取っているわけで、風太郎に対して五人が同時に見舞うシーンは美しい。五つ子全員の目に見えない繋がりというか、2巻の線香花火のシーンで再確認していた五人の結び付きをひしひしと感じます。

終わりに

 ワクワクドキドキの林間学校編は終わり、次はまた日常編に戻る感じでしょうか。
 アニメ版、実は1話も見てないのですが、サブタイトルを見た限り、今巻で1クールは完結したみたいですね。仕方ないけれど、多くのキャラが恋心を自覚し始めるという、すげー先が気になる部分で終わってますね。二期も決定しているから、もちろん今となっては杞憂ですが。機会があったら、アニメ版も見てみようかと思います。

 以上、感想でした。