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『五等分の花嫁』7巻感想

『五等分の花嫁』7巻の感想を。ネタバレです。

五等分の花嫁(7) (週刊少年マガジンコミックス)

前書き

『五等分の花嫁』は週刊少年マガジンで連載中の漫画。ジャンル的にはラブコメです。今なにかと流行りの家庭教師モノ?で、学年成績最優秀の上杉風太郎君が、仕事の依頼として、赤点常連の同級生の五つ子女子の家庭教師をする……だけど苦労ありハプニングありイベントあり色恋あり……というのが大まかな筋。

 ヒロインが五つ子姉妹というのが重要な部分です。姉妹たちは顔立ちはそっくりなのですが、性格はもとより得意分野、趣味嗜好などがまったく異なる個性溢れる姉妹で、各々が物語を華やかに彩る魅力的なヒロインとなっております。
 将来、風太郎は五つ子の誰かと結婚するというのが物語冒頭で明示されていて、五つ子の誰が風太郎の花嫁なのか、というライトなミステリ要素もある作品ですね。

 というわけで7巻。前巻でついに紆余曲折の末にニ乃と和解、風太郎は五つ子全員の信頼を得ることができて、物語として一段落。表紙を彩っていた五つ子も一花~五月で一巡し、作中の時間でも年越し、と色々な区切りが。

 異性の女子5人から信頼を得るというのは(しかも何人かはすでに恋愛感情を持っている)けっこうなモテモテ感で、この巻を契機に『五等分の花嫁』はより明確にハーレムラブコメな印象を持つようになります。それが好きな人はもちろん歓迎すべきことですが、自分としては最初ちょっと戸惑ったというか、どこか寂しい気もしました。オタク的な書き方をすれば、ギャルゲーの共通ルートが終わったような寂しさというか。ちょっと(というか全然?)違う話かもしれないけど(笑)

キャラ感想

風太

 ちょくちょく五つ子を巡って中野父とバトル。しかしまぁ、立場としても権利としても圧倒的に中野父のほうが上なわけで、本気でやろうと思えば風太郎の排除も五つ子の転校も可能なはずで、最低限は、風太郎にも五つ子にも譲歩してくれてるよなぁ、と思う。言動が少々大人げない印象はあるけれどね(笑)
 風太郎は相変わらず無自覚に五つ子とフラグを立たせまくっていますが、一花三玖、そして最後のニ乃の告白然り、もはや五つ子に今まで以上の関係を求められることは明白で、はてさて、今までは恋愛面で鈍感で無自覚でいられた風太郎くんは、どうやってそれに向き合うのでしょうか。

・一花

 今巻は、女優業での秘密の邂逅や、テストで三玖を制するところなど、「長女」の姿ではなく「風太郎に恋する女子」という側面が大幅ピックアップ。恋愛レースはニ乃の参戦も確定だし、今までのように一歩引いて振る舞い続けていては、立場が苦しくなる一方ですからね。三玖にテスト結果で勝ったときの表情は、なかなかゾクッとさせるものがありました。

・ニ乃

 今までの関係があったから、まだ風太郎に対してぎこちない接し方になっているけれど、最終的には告白に至るまで、進みました。ニ乃は気になった異性と距離を縮めることをためらわないとキンタローの一件で明かされていますし、キンタロー本人である風太郎に告白するというのも、じゅうぶん納得な展開です。恋愛レースにニ乃が参戦するのは、色んな意味で波乱が巻き起こるだろうことは間違いないですね。

 今までなにかとヘイトを買いやすかったニ乃ですから、この理想的なツンデレ展開は今までファンだった方からすると、やっと報われた思いではないでしょうか。

・三玖

 バレンタインイベントにテストでの頑張りなど、さすがは三玖さん、乙女力がマシマシである。すごくストレートに恋する女子をしていて、なかなか変化球で攻めがちな他の姉妹と違い、正統派な手段で風太郎への気持ちをじっくり育てております。

 いつかその想いが報われてほしいけれど、報われるということは他の恋する姉妹が報われないということで、一読者としては辛いジレンマです。

四葉

 四葉が原因で、前の学校を五つ子は転校することになったと明かされます。ゆえに四葉は他の姉妹に対して、それが負い目となっているのですね。自分がずっと足手まといになってしまっているのだと。だから、前のデートイベントで語られたように、四葉は献身的に他の姉妹へ接します。

 だけど、風太郎の言葉によって、四葉は決して足手まといじゃなく、他の姉妹へのフォローができるのだと教えられ(五つ子はテストで優秀な科目がバラバラという伏線が活きてますね)、四葉は奮起し、無事に赤点超えを成し遂げました。

 四葉はいつも要領よく風太郎をフォローしてますし、運動神経は抜群、とスペックは高いんですよね。ペーパーテストさえ克服してしまえば、むしろ五つ子を積極的に引っ張れる存在となれるのではないでしょうか。

・五月

 五月は一番しっかり母の教えや考えを守っている印象で、だからこそその仕事を自分も継ぎたいと考えるわけですね。教師役というのは風太郎の今の立場と被ります。そういう意味で五月と風太郎は、目指す場所が近いのですね。

 五月は他の姉妹と違い、風太郎に対して恋愛感情がほとんどうかがえない、今の状況だとマイノリティの立場です。でも風太郎に対して、他の姉妹に勝るとも劣らないくらい信頼はしているのは間違いない。

 『五等分の花嫁』という物語上において、五月はどういう決着を迎えるのか。恋愛感情ではないけれど、もっと別のポジティブな感情で風太郎と結びつく、そんなエンディングも想像できるのは、五月ならでは、ですね。

終わりに

 冒頭に書いたとおり、良くも悪くも、一人の主人公を巡るヒロインたちと、ハーレムラブコメらしくなってきた感じです。もちろん、自分もそういうのは好きなんですけどね。充分に溜めがあったから、風太郎にも五つ子にもしっかり感情移入できるし。

 ただ、やっぱりこういう展開になると、負けヒロインとか勝ちヒロインというワードが脳裏に出てきちゃうから、やっぱり読者としては辛い。みんな可愛いから、みんな幸せになってほしいよね。

 以上、感想でした。