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『五等分の花嫁』8巻感想

『五等分の花嫁』8巻の感想を。ネタバレです。

五等分の花嫁(8) (講談社コミックス)

前書き

『五等分の花嫁』は週刊少年マガジンで連載中の漫画。ジャンル的にはラブコメです。今なにかと流行りの家庭教師モノ?で、学年成績最優秀の上杉風太郎君が、仕事の依頼として、赤点常連の同級生の五つ子女子の家庭教師をする……だけど苦労ありハプニングありイベントあり色恋あり……というのが大まかな筋。

 ヒロインが五つ子姉妹というのが重要な部分です。姉妹たちは顔立ちはそっくりなのですが、性格はもとより得意分野、趣味嗜好などがまったく異なる個性溢れる姉妹で、各々が物語を華やかに彩る魅力的なヒロインとなっております。
 将来、風太郎は五つ子の誰かと結婚するというのが物語冒頭で明示されていて、五つ子の誰が風太郎の花嫁なのか、というライトなミステリ要素もある作品ですね。

 というわけで8巻。前巻のヒキの二乃の告白の顛末と、春休みの中野家と上杉家の一家団欒旅行編がまるまる一本。今巻で印象的なのは、特に今まで以上に恋愛色が強くなったな、という部分。二乃の告白からスタートという時点で、作品全体に恋愛ブーストが掛かって、旅行編では一花・二乃・三玖の風太ガチ恋姉勢の熾烈なライバル争いが。旅行編ラストエピソードはキスイベントまで(誰かは明かされませんでしたが)。どこを切り取っても、なかなかのラブ色である。

 一区切り付き、前巻から雰囲気が変わった『五等分の花嫁』、ラブコメのラブ部分がかなり強調され始めた一巻と言えるのではないでしょうか。お爺さんとのエピソードも、家族愛として印象的ですが。

キャラ感想

風太

 ニ乃からの告白でけっこうなダメージを受けている風太郎くん。まさかあれだけ反目していた女子から告白されんだから、ガチで戸惑いますわな。
 
 五月になった姉妹の見分け方にこだわっていたのは、彼女たちへと向き合う覚悟を持ちたいから。彼女たちと多くの苦楽を共にして、今の風太郎は、ただお金を稼ぎたいがために教師役を引き受ける、なんてことは、もう言わない。

 五月に友達と言われてやる気を出した風太郎を見てもそうですが、五つ子一人一人に友達としての親愛を持ち、彼女たちの力になりたいと強く思っている。風太郎の成長が見て取れますね。ただし、親愛という部分が、なかなかに厄介ではあるのですが(笑)

・一花

 ニ乃と三玖の本気の想いを見せつけられることによって、同じ恋する女子として悩まざるを得ない長女さん。ここ最近はずっとそれに苦しんでいましたが、四葉の言葉によって、ついに自分も「優しい長女」という役割を捨て、恋心というエゴを表に出すことを躊躇わなくなりました。

 女子として一皮むけたか、あるいは姉妹を慮る優しさをあえて捨てたか。いずれにせよ、一花は、他の姉妹にとって手強い存在になりそうです。

・二乃

 キンタローくんへのアプローチからその片鱗が見え隠れしていましたが、暴走機関車二乃さん、好きになったらゴールまで一直線です。ここまで恋することを全力で全うする肉食系女子というのはフィクションの世界ではやや珍しく(しかしそれでいて恥じらいは忘れないのもポイント高し)、最初から二乃が好きだった方には、今の彼女は魅力が開花し、とても眩しく見えるのではないでしょうか。自分も可愛く見えます。

 物語上で他のヒロインを出し抜き、主人公に最初に告白したというポイントが、果たして吉と出るか凶と出るか。難しいところです。

・三玖

 初めてと言ってもいいぐらいに、旅行編では三玖が中心的な存在に。個人的にここがすごく興味深いです。これは、一花、二乃という「風太郎に本気で恋する」存在、三玖と同じ土俵に立てる二人が出てきたからこそ、やっと三玖を物語の中心に据えることができるようになったと思うのです。恋する女子というキャラは、それだけ物語上においても、キャラクター上においても、圧倒的有利な存在でしたからね。二人のおかげで、三玖はやっとその軛から解放されたのだと、自分には思えました。

 ちなみに、話としては萌えました。

四葉

 姉たちがことごとく色恋にうつつを抜かしてる中、安定の四葉ポジション。一花の悩みを解消してあげたところは、現時点では一花とライバルではない、恋愛面では外野ポジションな四葉だからこそできた芸当だったのでしょう。なにげに姉妹の中で、一花以上にフォローに回ってる苦労人は、四葉よな。

・五月

 自分のビジュアル的に一番好みなのは五月なので、五月の森はなかなかの眼福っぷり。更に入浴シーンでもサービスしてくれるという、今巻は目で楽しませてくれる存在でしたな(わらい)。

 四葉と同じく、姉三人が揃って色恋に盛り上がってるなか、ちょっと天然かつ悪友っぽい距離感で風太郎に接する感じがすごく良いですね。恋もいいけど、友達だって、ちゃんとした愛だからね。

終わりに

 今巻は犯人探しに変装に証拠探しにミスリードに、とちょっとミステリ風味な仕上がりの一冊でしたね。『五等分の花嫁』自体が壮大なミステリとして作られていますし、単なる萌えハーレムラブコメでは終わらない、色々とキャラの内心の考察や、想像しがいのある、今風な作品だと思います。

 以上、感想でした。