はぐれ中継基地Ver2.0

小説・漫画・映画・ゲーム /  感想

『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』10巻感想

かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』10巻の感想を。ネタバレです。

 

かぐや様は告らせたい?天才たちの恋愛頭脳戦? 10 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

前書き

かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』は週刊ヤングジャンプで連載中の漫画。ジャンル的にはラブコメ?です。男女の主役二人とも天才で、お互いがお互いを惚れさせようとしているという前提。お互いの人間心理を高度に読みあったり、なんてことのない学校のイベントを肴に鋭い駆け引きをしたり、というお話。こう書くとなんだかちょっと堅苦しいような感じもしますが、全然そんなことなく、むしろお互い好きあってるのに素直になれず、明後日の方向に突拍子もない行動をしまくる主役二人の天然ぷり+可愛らしさにニヤニヤする、そんなゆるーいコメディです。
 というわけで十巻。二桁の大台に乗りました。その記念というか、作中の写真ネタの繋がりというか、いずれにしても表紙は綺麗に現生徒会メンバー勢ぞろい。どうでもいいことですが、自分が普段追っているマンガってすごく刊行が遅い作品が多くて(バ○ボンドとかベルセル○とか)、これだけハイペースで刊行されている『かぐや様は告らせたい』がすげーなって思ったりしてします。まー週間連載だとこれが普通なんでしょうけれども。子どもの頃みたいに週間雑誌を買って追うってことがなくなったから、こういう単行本の刊行ペースが新鮮です。すみません、ホントにどうでもいい余談ですね。
 内容的にはいつものように一話〜二話完結の小話ペースですね。ただ、十巻という区切りが理由かどうかは分かりませんが、今までの『かぐや様は告らせたい』の総括的な雰囲気の話が挟まれていて、作中の季節の移ろいと同じく、登場人物の関係性も確かに移ろっているのだと分かります。

感想

 変化

 最初期はかぐやと御行、藤原書記という三人のみで物語を廻していましたが、いつの間にか石上会計が増え、伊井野さんが増え、早坂さんが増え、圭が増え、モブと思いきや表紙まで飾った三角形カップルも増え、その他諸々、多くの登場人物が話に関わるようになりました。とても賑やかになりましたね。
 この作品は基本的に一話〜二話完結の構成ですが、一話一話がしっかりと伏線になって、のちにその物語が別のカタチで生かされるってケースが多いです。十巻だと早坂さんの話とか、三角関係カップルの話とか。それが些細な小ネタだったりもしますが、基本的には「人間関係の進展」という一番大事な要素が複線として引き継がれていて、そういう意味では再読の魅力がある作品だとも思います。
 「人間関係の進展」という部分は、同時に「登場人物の深みが描写される」ということにも繋がると思います。かぐやや御行は当然として、藤原書記や石上会計、新メンバーの伊井野さんも早速、登場当初には見せなかった別の側面…例えば伊井野さんが実は食いしん坊キャラだとか…が明かされて、その魅力的なギャップがキャラクタへの感情移入へと繋がります。

 かぐやの今

 登場人物の変化が描写されていると書きましたが、もちろんもっともその変化が描写されているのは、主人公でもあり、ヒロインでもある、かぐやだと思います。
 十巻の最終エピソードで、今までの生徒会の日々を写真という記録として残していた携帯電話が壊れて、かぐやは泣いてしまうほどに落胆します。大切にしていた思い出がなくなってしまったと思ったのですね。だけど、作中で述べられているように、幸福な思い出は一人だけではなく、その幸福な瞬間を一緒に共有してくれた人の記憶にも残るのです。
 データの写真は失ったとて、大切な人たちと共有した記憶は失ったわけではない。その証拠に、かぐやが新たに買ったスマホには、生徒会のみんなの温かいメッセージと写真ですぐに埋まりました。
 かぐやの過去は無感動で孤高の人間だったと、いくつかのシーンで語られていました。だけど、御行と出会い、恋をして、『かぐや様は告らせたい』がスタートした十巻の間で多くの人と関わって、今のかぐやは大切な人たちに囲まれ、今はとても素直な笑顔を見せられる女子になりました。その変化がもっとも顕著に現れたのが、十巻の最終エピソードなんだと自分は思います。

終わりに

 いつの間にか十巻まで感想記事が到達しました。ここまでガッツリ読み込んでいるマンガは久しぶりで、それを記事としてまとめる(ことができているかどうか自信はないですが(笑))のがここまで大変だとは思いませんでした。もちろん誰に強制されているわけではなく自分が好きでやっていることですし、楽しい部分も勉強になる部分もたくさんあります。いずれにせよ、現行巻は11巻までなので、次巻でとりあえず『かぐや様は告らせたい』の感想記事は一段落となりそうです。
 では、今回はここまで!お暇がございましたら、次巻の感想でお会いしましょう。

 以上、感想でした。