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『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』7巻感想

かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』7巻の感想を。ネタバレです。

 

かぐや様は告らせたい?天才たちの恋愛頭脳戦? 7 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

前書き

かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』は週刊ヤングジャンプで連載中の漫画。ジャンル的にはラブコメ?です。男女の主役二人とも天才で、お互いがお互いを惚れさせようとしているという前提。お互いの人間心理を高度に読みあったり、なんてことのない学校のイベントを肴に鋭い駆け引きをしたり、というお話。こう書くとなんだかちょっと堅苦しいような感じもしますが、全然そんなことなく、むしろお互い好きあってるのに素直になれず、明後日の方向に突拍子もない行動をしまくる主役二人の天然ぷり+可愛らしさにニヤニヤする、そんなゆるーいコメディです。
 というわけで七巻。御行が生徒会長選挙に出馬!というヒキから続いて、七巻のメインは生徒会選挙。生徒会選挙ではあるのですが、いつも通りのふんわりした雰囲気の一話完結ネタもあり。かぐやの性癖の歪みっぷりとか、藤原書記の弄られっぷりとかとか、石上会計のサービスシーンとか。なんか、最初期の雰囲気から、みんな印象が変わってきた感じがしますね。主にネタキャラ方向で(笑)特にかぐやが実は豆腐メンタルで、笑ったり泣いたりと表情がコロコロ変わり、逆に藤原書記が面白天然キャラと思いきや、実はしっかりした芯を持っている女子、という作中印象の逆転交差っぷりが面白いです。もちろん、それが本来の人柄でもあり、そのギャップが魅力的なんですけどね。

感想

 生徒会選挙

 こういうフィクションの選挙ネタってけっこう陣営間で妨害工作や印象操作をガッツリ画策って感じがあるんですが、『かぐや様は告らせたい』はそういうちょっと泥臭い深謀遠慮の描写を(あくまで表面上は)ほとんどせず、開票前から御行の一強ぶりをアピール。もちろん実は裏でかぐやが工作しまくってるから(笑)ってのもあるのでしょうが。それもネタ的描き方なので、シリアスさはなし。
 個人的に『かぐや様は告らせたい』がすごいと思う部分があって、ホントに『天才たちの恋愛頭脳戦』をずっとメインテーマに据えてるんですよね。例えば今回の選挙ネタも、普通の学園マンガだったら、ライバルキャラ(伊井野さんをライバルとは言いたくない(笑))とか出して、ガッツリ迫真の投票レースを描きたくなるようなネタだと思うんですよ。でも、そこまで深く描写はしない。むしろ、淡白すぎるくらいアッサリ終わらせる。
 まぁ、今となっては"天才たち"の恋愛"頭脳戦"については多少の疑問を呈したくなりますが(笑)、恋愛……特に、かぐやを魅力的に描写することを、他のなにより優先されているな、とすごく実感します。こういう芯のぶれなさが、評価されている一因じゃないのかなぁと思います。

 伊井野 ミコ

 七巻からデビューした後輩女子。生徒会選挙に出馬し、いちおうの御行陣営のライバルにはなります。ただ、伊井野さんは最初から御行のガチライバルになりえるキャラとは描写せず(公約とかギャグみたいなモンですし)、真面目な性格が災いしてずっと人知れず辛い思いを抱えていた女の子、というどっちかというと物語として救うべきヒロインな扱い。
 真面目すぎるがゆえに人に疎まれ、それでもまだ理想を求めようとして、結果的にもっと傷ついてしまう、彼女の悲劇的な性質を、人を見抜ける石上会計は気付いており、彼女を助けることを御行に依頼するさまは、ヤロウ二人の信頼と男気を感じられて同じヤロウとしては熱くなるベリーグッドシーン。
 最終的に彼女も新たな生徒会のメンバーとして迎えられ、生徒会は女子が三人になるという華やかさアップ。ただ、まだ誰とも親しくはないので(むしろシモネタでドン引き(笑))、これから人間関係を構築していくキャラですね。どんなキャラとして魅力的に開花していくのか、今から楽しみです。

終わりに

 生徒会選挙は滞りなく終了。伊井野さんを迎えて、またしばらくはマッタリとした一話完結物語に回帰しそうです。秋から冬にかけても色々と学園にはイベントがあるでしょうから、それを消化しつつ、という感じでしょうか。今のペースなら来週には既刊はすべて読み終えられそうなので、もうちょっとですね。それが達成感があり、同時に寂しくもあり。
 では、お暇があるようでしたら、次巻の記事にて。

 以上、感想でした。