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『セブンスドラゴン2020』感想

セブンスドラゴン2020』の本編をクリアしたので、感想を。

 

セブンスドラゴン2020 PSP the Best

 

前書き

 『セブンスドラゴン2020』は2011年発売のPSPソフト。ジャンル的にはMAPがダンジョンのみの、オーソドックスなターン制RPGです。『セブンスドラゴン2020』より前にニンテンドーDSで『セブンスドラゴン』という前作が存在するのですが、DSソフトをプレイする環境がないので、そちらはやっておりません。
 なんで今更2011年のゲームをやったのかというと、単に3DS版を含めたセブンスドラゴンシリーズ三部作をずっと積んでいたので、いい加減消化しようかと思いたったからです。

感想:良かったところ

 ・痒いところに手が届くデザイン

 プレイしていてすごく思ったのが、ほとんどストレスを感じさせないゲームデザインになっているなぁ、というところ。ダンジョンには必ず要所要所で全回復セーブポイント+脱出口があるし、ダンジョン攻略中にMPを消費しない回復手段は用意させているし、雑魚戦でなにもせずに掃討するスキルはあるし、それらの要素で多少進行に詰まってもレベリングがとてもラク。UIの煩雑さもないし、直感的に操作できる。2011年のゲームでここまでユーザビリティが効いたゲームはなかなかないんじゃないかと思います。このゲームデザインはとても練られていると思います。

 ・緊張感のある攻略と戦闘

 上記の通り、既存のRPGの基本要素(武器防具の概念やレベル制、技のスキル制にクエストシステムなど)がほとんど手を加えずにニュートラルに詰まっていて、それらがうまくかみ合っているため、ダンジョン攻略とボス撃破にプレイヤーはしっかり集中できます。
 雑魚戦はほとんど難しくないのですが、ダンジョンに蔓延る中ボスドラゴンは敵によってはやや強く、大ボスクラスになると初見で突破は難しくなり、事前の調査と対策は重要。ボスにはルーチンが組まれているので、それを読んで対応するかがキモ。プレイヤーに用意された職業とスキルのシナジーでいかに自分なりの戦略を組み立てるのかが楽しく、即死と隣り合わせの緊張感が癖になります。

 ・BGM

 世界樹の迷宮シリーズでもおなじみの古代祐三氏が担当。めちゃくちゃ良いってわけではないけれど、場を盛り上げるという意味では良曲多し。個人的に特筆したいのは、DIVAモードというのがあって、曲のベースラインは一緒なのだけど、初音ミクの歌が入るというモードが用意されています。これ、ほとんどの曲(もしかしたら全部?)に対応していて、その労力だけでもすごいなと思いました。初音ミクは人によっては苦手かもしれませんが、自分は全然気にならず、後半はずっとDIVAモードにしてました。

感想:悪かったところ

 ・シナリオ・キャラ

 個人的には残念だった。
 いや、実は前半の帝竜を攻略していく展開はとても好みでした。多くの犠牲が生まれ、活路などないような凄まじい逆境でも、個人として必死に立ち向かい、さらに力を合わせて強大な敵を打倒していく。特別な存在だけではなく、平凡な存在でも道を切り開くことはできる。帝竜を攻略する過程も作戦が練られていて、白熱しました。
 ただ、後半は。バタバタといまいち理由も感じられずにキャラは死に、あるいはいきなり裏切って、一気に宇宙レベルまで話が広がって、平凡な人間ごときの戦略だとか戦術だとかなんてギャグにしかならんような凄まじいパワーで最終的には宇宙を滅ぼせるような神に等しい存在をぶっ倒してしまう。それなりに重要な立場でありながら裏切りを選んだ人間も大した理由も大した見せ場もなく淡白に死んでいく。
 明らかに前半と後半でシナリオの力の入れ方が変わっていて、同時に世界観の断絶もしこたま味わいました。ちっぽけな人間が泥臭く協力して強大な竜を打倒する話なら「そう」と、あるいはそんな些細な話でなく神々が跋扈するコズミックレベルの話なら初めから「そう」と、ベースとなるテーマを決めて欲しかったと思います。今作のようにその両者を欲張って地続きに描写したいなら、もっと丁寧に、じっくり時間をかけて話の流れを描写するべきです。じゃないと超展開だと思えてしまいます。シナリオ・キャラに関しては個人的に苦手でした。

 ・その他些細な部分

 ・都庁のマップが広すぎて、クエストやシナリオ進行で移動がちょっと面倒でした。
 ・都庁帰還後に自動回復があっても良いんじゃないかなぁと。マイルームに戻るのが面倒でした。

まとめ

 あくまでロールプレイング「ゲーム」としてみるなら、とても優等生な作品だと思います。すごく口当たりがいい美味しいスイーツを食べているような、制作側の真心と優しさを感じます。ダンジョン攻略型のRPGを求めているなら、まずプレイして損のない一本。
 ただ、世界観やキャラクターに惹かれてシナリオに期待すると、がっかりしてしまう部分があるかも。もちろんその評価は個々人によると思いますが、少なくとも前半のノリが最後まで続くと思うと、まず後悔すると思います。
 現在続編である『セブンスドラゴン2020-II』をプレイし始めたので、終わったらまた感想を書こうと思います。

 以上、感想でした。